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(1)健康診断対象・実施項目・実施機関

1-(1)-57
深夜業に従事している労働者に6か月ごとに定期健康診断を実施するにあたり、
(1)胸部エックス線検査は1年以内ごとに1回足りるとされていますが、1年に2回実施しても身体への影響はないのでしょうか。
(2)前回の健康診断で貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図検査を受けた者について、医師が必要でないと認めるときは省略して行うことができるとされていますが、どのような基準でしょうか。

(1)胸部エックス線を1回受けた場合の放射線量は概ね0.02~0.1ミリシーベルト、自然放射線による世界平均の年間に受ける放射線量は2.4ミリシーベルトであり、影響は殆どないといわれています。

(2)平成10年6月24日付け基発第396号により健康診断項目の省略については、個々の労働者について、医師が健康診断時点の健康状態、日常生活状況、作業態様、過去の健康診断の結果、労働者本人の希望等を十分考慮して総合的に判断すべきものであるとされています。

1-(1)-56
定期健康診断の記載について、喫煙歴や服薬歴はどこの欄にどのように記載したらよいのでしょうか?

労働安全衛生法においては、定められておりません。なお、喫煙歴及び服薬歴については、特定健康診査において「既往歴の調査」として行うこととなっており、労働安全衛生法上の定期健康診断でも同様に行うことが通達により求められておりますので、「既往歴」欄に記載することが望ましいと考えます。

また、記載方法についてですが、特定健康診査における「標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】」に、服薬歴及び喫煙歴の関する標準的な問診内容が次のように示されております(回答は「はい」又は「いいえ」)。

 1) 現在、aからcの薬の使用の有無

    a.血圧を下げる薬

    b.インスリン注射又は血糖を下げる薬

    c.コレステロールを下げる薬

 2) 現在、たばこを習慣的に吸っている。(※「現在、習慣的に来通園している者」とは、「合計100本以上、又は6か月以上吸っている者」であり、最近1か月間も吸っている者)

このことから、当該問診結果の内容等について記載することが望ましいと考えます。。

1-(1)-55
定期健康診断について、労働者に受診を指導・説明しても本人が拒否して一部の項目が実施されていません。
その場合、実施していない項目があるため法律違反として事業主が罰せられることがあるのでしょうか?
また、社内事故などで労災問題など会社側が不利になることはあるのでしょうか?
実施日を変えてでも受診しないと就業させないなど(就業制限)、強制的に命令しなければならないのでしょうか?

健康診断の受診拒否について、以下のとおり参考とすることができます。

1.健康診断にかかる労働安全衛生法等の規定について
労働安全衛生法における健康診断の規定は次のとおりとなっています。
労働安全衛生法第66条第1項
「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断をおこなわなければならない。」

→罰則:50万円以下の罰金

【労働安全衛生法第66条第2項~第4項】(略)

【労働安全衛生法第66条第5項】
「労働者は、前各号の規定により事業者が行う健康診断をうけなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行う健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師が行うこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。」

→罰則:なし

また、上記法第66条第1項の「厚生労働省令で定める」につき、定期健康診断については労働安全衛生規則において次のとおり定められています。


労働安全衛生規則第44条
「事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。」(健診項目の記載は略)

安衛法の健康管理義務規定により、事業者は、常時使用する全ての労働者に対して、毎年1回定期に医師による健康診断をおこなわなければならず、これを行わなかった場合には刑事的な罰則があります。
また、労働者側については、罰則はありませんが事業者が行う健康診断を受けなければならないという義務があります。例外として、労働者が事業者の指定した医師が行う健康診断を受けることを希望しない場合には、他の医師が行うこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、その健康診断書の提出をもって代えることはできます。

2.ご質問の関係について
事業者が健康診断を行わなかった場合の刑事的側面、又は損害賠償請求などの民事的側面については最終的には裁判所の判断となりますので一概に断定できるものではありません。つまりは、個々の事案において訴訟が提起された場合、裁判官がどう判断するかということになります。
独立行政法人労働政策研究・研修機構」のHPの「労働問題Q&A」に類似の相談事例が掲載されていますので、一度ご確認ください。

【健康診断を本人拒否により実施していない場合、事業主は罰せられることがあるのでしょうか?】
事業者が健康診断を行う義務を果たすためには、どの程度のことを行わなければならないかということですが、健康診断は最終的には労働者の協力がなければ遂行されないわけですから、何が何でも労働者に健康診断を行わなければ法違反となるというのでは、事業者に酷といえましょう。
ただ、事業者としては、労働者が健康診断を受けようとすればすぐに受けられるように、労働者にその時期と健康診断機関を指示するなりして事業場内で健康診断を行うなり、仮に受診しない者がいた場合には、積極的に受診勧奨を行うなどして事業者として受診のための「最善の努力」を講じていく必要があるものと考えます。(改訂新版「新・労働法実務相談」(財団法人労務行政研究所発行)抜粋)

【社内事故などで労災問題など会社側が不利になることはあるのでしょうか?】
上記相談事例にかかる裁判例によると、「法定内外の健診への企業による誠意を持った説得にも拘わらず従業員が受診拒否を続ける場合で、懲戒処分などまでは取らず、それ以上の説得をなさずに事態を放置していた場合には、法定内外の受診命令拒否に対して共通に、従業員側の健康自己管理・健康回復努力義務違反等により、安全配慮義務違反の損害賠償における過失相殺、労災認定における不利益(業務起因性の否定)等の問題として処理が可能と考えられています。」としています。
つまりは、従業員側が受診命令拒否により健康自己管理義務等を怠った場合には、本人にも過失(悪い部分)があるとして損害賠償を減額されることもあり得るというものです。

【実施日を変えてでも受けさせないと就業させないなど強制的に命令(指導)しなければならないのでしょうか?】
上記相談事例にかかる裁判例によると、受診拒否を理由とした減給の制裁を有効としたもの(愛知県教育委員会事件)があります。
制裁(懲戒処分)をもって対処することも可能としておりますが、制裁(懲戒処分)をする場合は、「懲戒の種類や程度」を就業規則に記載しなければなりません。制裁(懲戒)の程度は、制裁の事由との間の均衡を十分考慮して規定されなければならず、この均衡を破るような制裁は、公序良俗に反する法律行為として無効と解される場合もあるので留意が必要です。
なお、制裁(懲戒処分)は最終的な処分ですので、そこに至る前に労働者に対して十分に説明・説得を行い受診してもらうことが必要と考えます。

いずれにせよ、上記のことは事案ごとに対応するものであって、最終的には裁判所の判断となりますのでご留意ください。

1-(1)-54
事業主が「労働安全衛生法に基づく労働者対象の定期健康診断を受けたい」と言ってきていますが、可能でしょうか?
また、この場合の費用はどうなるのでしょうか?
事業主に対する健康診断の実施は労働安全衛生法上、義務となっておりません。事業主が判断してください。
費用についても、事業主が確認してください。
1-(1)-53
有機溶剤の名称と有機溶剤含有量における健診実施の要否について教えてください。

1.有機溶剤の名称について

「エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル」と「エチレングリコールモノブチルエーテル」は同一の物質です。(別添1参照

「酢酸-n-ブチル」と「酢酸ブチル」は同一の物質です。(別添2参照

「プロピルアルコール」と「イソプロピルアルコール」は同一の物質です。(別添3参照

「テトラエトキシシラン」(別名:ケイ酸エチル)は有機溶剤中毒予防規則で定められた有機溶剤には該当しませんので、健康診断は不要です。(別添4参照

2.含有量について

有機溶剤以外の物が当該混合物の重量の5%を超えて含有するものは必要です。

1-(1)-52

クロロホルムに係る有機溶剤予防規則の適用除外規定と特殊健康診断について教えてください。

有機溶剤中毒予防規則第2条に適用除外規定があり、当該計算式により算出された有機溶剤の消費量が許容消費量を超えていなくても健康診断の規定は適用除外にはなりません(クロロホルムは第一種有機溶剤)。
なお、有機則第3条において労働基準監督署長の認定を受ければ健康診断についても適用除外となりますが、具体的な認定手続き等は、お近くの労働基準監督署へご確認ください。

1-(1)-51

VDT健康診断個人票の記入要領や記載例があれば教えてください。

財団法人産業医学振興財団が発行している「VDT作業と健康診断」という書籍に、VDT健診における眼科的検査の概要が記載されています。 また、記入要領や記載例的なものはありませんが、「VDT健康診断個人票」の様式が福島労働局のHPに掲載されていますので参考にすることができます。

もともと、VDT健康診断については、健康診断の実施項目は「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」にて示されているものの、「VDT健康診断個人票」自体は様式が法令上定まっている訳ではありません。 したがって、健康診断の実施項目を網羅した形で、各健康診断実施機関において「VDT健康診断個人票」を作成して実施しているものと考えます。

1-(1)-50

労働安全衛生規則第45条第1項について、
(1)深夜業を含む業務は6月以内ごとに1回健康診断を実施することになっていますが、深夜業に該当する時間帯を教えてください。
(2)3交代勤務を実施しており、日勤の他にPM4:00~AM0:30までの方とAM0:30~AM9:00までの方がいますが、どちらも深夜業に該当するのでしょうか?
(3)何ヶ月以上は対象というのはありますか?

(1)深夜業に該当する時間帯について 労働基準法第37条において、午後10時から午前5時までの間の時間を深夜

業と定義付けされています。

(2)交代勤務について 3交代勤務において、日勤の他にPM4:00~AM0:30までの方とAM0:30~

AM9:00までの方の勤務とありますが、いずれの方も上記の深夜業の時間帯を含んでいますので対象となります。

労働時間の一部のみ深夜に該当する場合であっても深夜業務従事者となり、特定業務従事者の健康診断(年2回)が必要となります。

(3)何ヶ月以上は対象かどうかについて 何ヶ月以上を対象とするという規定はありません。 特定業務従事者(深夜業を含む)に従事する労働者の健康診断については、

労働安全衛生規則第45条に定められていますが、「常時使用する労働者」を対象としています。ここでいう「常時」とは、次のいずれかに該当することとされています。

 ・おおむね1週間に1回以上または1月に4回以上見込まれる場合

 ・6月平均で1月当たり4回以上見込まれる場合

 ・結果として6月平均で1月当たり4回以上、常態化している場合

1-(1)-49

特定健康診査については、健康診査項目の中で「服薬歴」及び「喫煙歴」を行うこととなっていますが、雇入時健康診断は当該項目は含まれていません。事業場から当該項目の調査の実施及び健康診断結果個人票の記載について要請があった場合、どのように対処したらよいでしょうか。

労働安全衛生規則においては、当該項目について実施義務はありません。

また、健康診断結果個人票の記載については個人情報ですので労働者の同意を得るよう留意してください。以下も参考にすることができます。

◎特定健康診査等の実施に関する協力依頼文書

◆H20.1.17基発第0117001号

特定健康診査等の実施に関する協力依頼について(依頼)

特定健康診査等の実施に係る事業者と医療保険者の連携・協力事項について

◎服薬歴及び喫煙歴に関する標準的な問診内容及び質問票について

◆「標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】」の2-29頁、3-88頁

◎法定項目に追加して実施した項目に係る被保険者等への事前了解について

◆「特定健康診査・特定保健指導に関するQ&A集」の13頁

◎特定健康診査と労働安全衛生法との関連について

◆「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き(第3版)」の5頁から18頁

1-(1)-48

電離放射線健康診断個人票の記入見本はないのでしょうか?
「被ばく歴の有無」とはどんな定義なのかについても教えてください。

電離放射線障害防止規則等の関係法規からは「被ばく歴の有無」にかかる用語の定義はありません。ただし、「広辞苑」によると、『被ばくとは、放射線にさらされること』となっております。

したがって、「被ばく歴の有無」とは、主に問診により把握することとなりますが、過去の業務において放射線にさらされたことが有るか否かと解して構わないものと考えます。

また、被ばく歴を有する者については、平成13年6月22日付け基発第568号「電離放射線障害防止規則第56条に規定する健康診断における被ばく歴の有無の調査・評価項目及び健康診断の項目の省略等の可否について」平成13年6月22日付け基安労発第18号「電離放射線障害防止規則第56条に規定する健康診断における被ばく歴の有無の調査の調査項目の詳細事項について」の通達において、被ばく歴の有無の調査の調査項目などが示されておりますので参考とすることができます。  

 

なお、電離放射線健康診断個人票の記載例につきまして、種々の書籍を探してみましたが、参考となるべき記載例はございませんでしたのでご容赦願います。

1-(1)-47

労働安全衛生法規則における健康診断の聴力検査基準は、定期が1000ヘルツは30デシベル、4000ヘルツは40デシベル、雇入時が1000ヘルツは30デシベル、4000ヘルツは30デシベルと聞きましたが、その根拠は何に記載されていますか?

ご質問の関係については、「労働安全衛生規則の一部を改正する省令、有機溶剤中毒予防規則の一部を改正する省令及び鉛中毒予防規則の一部を改正する省令等の施行について」(平成元年8月22日付け基発第462号)という行政通達の中で示されております。 当該通達によりますと、雇入時健康診断について、「雇入時の聴力の検査は、オージオメーターを使用して、通常30デシベルの音圧の純音を用いて実施されるものであるが、検査を実施する場所の騒音の程度を考慮し行うものであること。」とされています。

また、定期健康診断については、「「聴力の検査」は、オージオメーターを使用して、通常1,000ヘルツについては30デシベル、4,000ヘルツについては40デシベルの音圧の純音を用いて実施されるものであるが、検査を実施する場所の騒音の程度を考慮し行うものであること。」とされております。

1-(1)-46

労働者に対する健康診断の実施について、例えば75歳以上の高齢者を外してもよいのでしょうか?

健康診断の実施は事業者の義務であり、労働者を使用していれば年齢に関係なく受診させる必要があります。

1-(1)-45

病院勤務等における医師・診療放射線技師は「特定業務従事者の健康診断」と「電離放射線健康診断」の2つの健康診断を実施する必要があるのでしょうか?

「特定業務従事者の健康診断」は、労働安全衛生規則第45条において、特定業務従事者(深夜業や放射線業務など)に対し、一般の健康診断の項目(※1)について、当該業務への配置換えの際及び6月以内ごとに1回、定期に行わなければならないと規定されています。この(定期)健康診断は、労働者の健康状態の推移を把握し、潜在する疾病を早期に発見するために行うものです。

一方、「電離放射線健康診断」は、電離放射線障害防止規則第56条において、放射線業務に従事する労働者に対し、特別の健康診断項目(※2)について、当該業務への配置換え(雇入れ)の際及び6月以内ごとに1回、定期に行わなければならないと規定されています。この(特殊)健康診断は、有害物については中毒など職業病を引き起こすおそれが高いため、有害物ばく露による健康障害の早期発見、職業性疾病の予防を図るために行うものです。また、有害物の種類によって、(特殊)健康診断の内容が異なります。 

したがって、健康診断実施の目的や健康診断項目も違うことから「特定業務従事者の健康診断」と「電離放射線健康診断」の2つの健康診断を行う必要があります。

なお、労働安全衛生規則第45条第3項には、(定期)健康診断は、(特殊)健康診断(電離放射線健康診断など)を受けた者については、当該健康診断の実施の日から6月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができると規定されております。

(※1)一般健康診断項目:

  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査及びかくたん検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査
  7. 肝機能検査
  8. 血中脂質検査
  9. 血糖検査
  10. 尿検査
  11. 心電図検査

(※2)電離放射線特殊健康診断項目:

  1. 被ばく歴の有無の調査及びその評価
  2. 白血球数及び白血球百分率の検査
  3. 赤血球の検査及び血色素量又はヘマトクリット値の検査
  4. 白内障に関する眼の検査
  5. 皮膚の検査

1-(1)-44

塗料販売の会社で、営業担当者が工場や作業現場に赴くことが多いため有機溶剤健康診断を実施しているが、法的な解釈をお願いします。

営業担当者が有機溶剤中毒予防規則で定める健康診断を受診する必要があるかという点についてご説明します。

有機溶剤中毒予防規則では、有機溶剤業務に常時従事する者に対して有機溶剤業務の特殊健康診断を行うこととしています。
「有機溶剤業務」は有機溶剤中毒予防規則で定義されており、その中に営業に関わっている労働者は含まれておりません(次の『有機溶剤業務』を参考とすることができます)。

そのため、貴社の営業担当者、技術員については、有機溶剤業務を常時行っていない場合は、有機溶剤業務の特殊健康診断を行う必要はありません。
また、「常時従事」の基準、解釈については示されておりません。労働基準監督署に確認してください。

『有機溶剤業務』
有機溶剤中毒予防規則第1条6号
有機溶剤業務 次の各号に掲げる業務をいう。
イ 有機溶剤等を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、撹(かく)拌、加熱又は容器若しくは設備への注入の業務
ロ 染料、医薬品、農薬、化学繊維、合成樹脂、有機顔料、油脂、香料、甘味料、火薬、写真薬品、ゴム若しくは可朔剤又はこれらのものの中間体を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、撹(かく)拌又は加熱の業務
ハ 有機溶剤含有物を用いて行う印刷の業務

ニ 有機溶剤含有物を用いて行う文字の書込み又は描画の業務
ホ 有機溶剤等を用いて行うつや出し、防水その他物の面の加工の業務
ヘ 接着のためにする有機溶剤等の塗布の業務
ト 接着のために有機溶剤等を塗布された物の接着の業務
チ 有機溶剤等を用いて行う洗浄(ヲに掲げる業務に該当する洗浄の業務を除く。)
又は払しょくの業務
リ 有機溶剤含有物を用いて行う塗装の業務(ヲに掲げる業務に該当する塗装の業務
を除く。)

ヌ 有機溶剤等が付着している物の乾燥の業務
ル 有機溶剤等を用いて行う試験又は研究の業務
ヲ 有機溶剤等を入れたことのあるタンク(有機溶剤の蒸気の発散するおそれがないものを除く。以下同じ。)の内部における業務

1-(1)-43
アセトンを使用する労働者の健康診断項目について教えてください。

有機溶剤業務従事者の健康診断項目について、アセトンを使用する業務に従事している労働者に対しては、特別に検査する項目は定められていませんので、次の有機溶剤中毒予防規則第29条に定める健康診断項目を検査することになります。
抜粋しますと次のとおりです。

  • 業務の経歴の調査
  • 有機溶剤による健康障害の既往歴並びに自覚症状及び他覚症状の既往歴の調査
  • 有機溶剤による自覚症状又は他覚症状と通常認められる症状の有無の検査
  • 尿中の蛋白質の有無の検査
  • 作業条件の調査
  • 貧血検査
  • 肝機能検査
  • 腎機能検査(尿中の蛋白の有無の検査を除く。)
  • 神経内科学的検査

【参考】有機溶剤中毒予防規則 第29条 (健康診断)

  1. 令第22条第1項第6号の厚生労働省令で定める業務は、屋内作業場等(第3種有機溶剤等にあっては、タンク等の内部に限る。)における有機溶剤業務のうち、第3条第1項の場合における同項の業務以外の業務とする。
  2. 事業者は、前項の業務に常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後6月以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
    一 業務の経歴の調査
    二 有機溶剤による健康障害の既往歴並びに自覚症状及び他覚症状の既往歴の調査、別表の下欄に掲げる項目(尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査に限る。)についての既往の検査結果の調査並びに第4号、別表の下欄(尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査を除く。)及び第5項第2号から第5号までに掲げる項目についての既往の異常所見の有無の調査
    三 有機溶剤による自覚症状又は他覚症状と通常認められる症状の有無の検査
    四 尿中の蛋(たん)白の有無の検査
  3. 事業者は、前項に規定するもののほか、第1項の業務で別表の上欄に掲げる有機溶剤等に係るものに常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後6月以内ごとに1回、定期に、別表の上欄に掲げる有機溶剤等の区分に応じ、同表の下欄に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。
  4. 前項の健康診断(定期のものに限る。)は、前回の健康診断において別表の下欄に掲げる項目(尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査に限る。)について健康診断を受けた者については、医師が必要でないと認めるときは、同項の規定にかかわらず、当該項目を省略することができる。
  5. 事業者は、第2項の労働者で医師が必要と認めるものについては、第2項及び第3項の規定により健康診断を行わなければならない項目のほか、次の項目の全部又は一部について医師による健康診断を行わなければならない。
    一 作業条件の調査
    二 貧血検査
    三 肝機能検査
    四 腎(じん)機能検査(尿中の蛋(たん)白の有無の検査を除く。)
    五 神経内科学的検査

第29条第2項第2号について
「有機溶剤による健康障害の既往歴の調査」とは、過去に有機溶剤による貧血、肝機能障害、腎機能障害、末梢神経障害等の健康障害があったかどうかを調査することをいうこと。

「尿中の有機溶剤の代謝物の検査」とは、有機溶剤中毒予防規則別表(「有機則別表」という。)下欄の「尿中のメチル馬尿酸の量の検査」、「尿中のN-メチルホルムアミドの量の検査」、「尿中のマンデル酸の量の検査」、「尿中のトリクロル酢酸又は総三塩化物の量の検査」、「尿中の馬尿酸の量の検査」、「尿中の二・五-ヘキサンジオンの量の検査」をいうこと。

第29条第2項第3号について
「有機溶剤による自覚症状又は他覚症状と通常認められる症状の有無の検査」は、有機溶剤による生体影響等健康への影響を総合的に把握するうえで重要な検査である。この検査の結果は、医師が必要と認める場合の健康診断項目の実施や医師が必要でないと認める場合の健康診断項目の省略等の判断の際の重要な基準ともなるものであるので、別添の表一に掲げる症状のすべてについて、その有無を確認しなければならないものであること。
なお、適宜問診票を用いても差し支えないが、その際には医師による全症状にわたる十分な問診を行うべきものであること。

表一 有機溶剤による自覚症状及び他覚症状

1 頭重 2 頭痛 3 めまい 4 悪心 5 嘔吐
6 食欲不振 7 腹痛 8 体重減少 9 心悸亢進 10 不眠
11 不安 12 焦燥感 13 集中力の低下 14 振戦
15 上気道又は眼の刺激症状 16 皮膚又は粘膜の異常
17 四肢末端部の疼痛 18 知覚異常 19 握力減退
20 膝蓋腱・アキレス腱 反射異常 21 視力低下 22 その他

第29条第3項について

第3項は、有機則別表に掲げる有機溶剤等の種類に応じ、貧血の検査として血色素量及び赤血球数の検査、肝機能の検査としてGOT、GPT及びγ-GTPの検査、尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査又は眼底検査を行うことを規定したものであること。
また、尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査のための尿の採取には、各物質ごとに適切な時期があり、その保存には適当な方法があるので別途示すところによること。

【血液又は尿の採取時期及び保存方法及び4項の健康診断項目の省略基準については、別添『有機溶剤中毒予防規則第29条及び鉛中毒予防規則第53条に規定する検査のための血液又は尿の採取時期及び保存方法等並びに健康診断項目の省略の要件について』をご覧ください。】

第29条第5項について

第1号 「作業条件の調査」について
従来、有機則別表に定められていたが、新たに、医師が必要と認める場合に行う項目として規定したこと。

第2号 「貧血検査」について
有機則別表の(一)に掲げる有機溶剤等に対しては血色素量及び赤血球数の検査以外の貧血に関する検査をいい、それ以外の有機溶剤等に対しては血色素量及び赤血球数の検査を含む貧血に関する検査をいうこと。
貧血に関する検査には、血色素量及び赤血球数の検査以外にヘマトクリット値、網状赤血球数の検査等があること。

第3号 「肝機能検査」について
有機則別表の(二)、(四)、(六)に掲げる有機溶剤等に対しては、GOT、GTP、γ-GTP以外の肝機能に関する検査をいい、それ以外の有機溶剤等に対してはGOT、GPT、γ-GTPの検査を含む肝機能に関する検査をいうこと。
肝機能に関する検査には、GOT、GPT、γ-GTPの検査以外に血清の総蛋白、ビリルビンアルカリフォスファターゼ、乳酸脱水素酵素の検査等があること。

第4号 「腎機能検査」について
尿中蛋白量、尿中糖量、尿比重の検査、尿沈渣顕微鏡検査等があること。

第5号 「神経内科学的検査」について
筋力検査、運動機能検査、腱反射の検査、感覚検査等があること。

1-(1)-42

石綿健康診断の留意点について、参考になるものがあれば教えてください。

石綿健康診断の内容については、石綿障害予防規則第40条にありますので、ご確認ください。
また、石綿による健康障害が明らかな疾病として「中皮腫」「原発性肺がん」「石綿肺」「両性石綿胸水」「びまん性胸膜肥厚」がありますが、パンフレット「石綿にさらされる業務に従事していた労働者の方へ」及び「石綿による疾病の認定基準」も参考になることと思われます。

1-(1)-41

ある病院にじん肺健診を依頼したところ、問診票を添付するように言われましたが、どのような内容のものですか?

『じん肺診査ハンドブック(中央労働災害防止協会 発行)』に問診票が記載されていますので、是非一度ご覧ください。

1-(1)-40

パートやアルバイトなどの短時間労働者で健康診断の対象としなくてもよい場合があると聞きましたが、どのように判断したらよいでしょうか?

H5.12.1基発第663号、婦発第272号、職発第839号、能発第280号の「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について」から一部抜粋いたしますので、参考にすることができます。


8 指針(法第8条関係)

(2)指針の各項につい

ニ 短時間労働者の適正な労働条件の確保(指針第3の1関係)

(リ)健康診断(指針第3の1の(9)関係)

健康診断については、短時間労働者が「常時使用する者」に該当する場合には、労働安全衛生法第66条に基づき、健康診断を実施する必要がある旨確認的に明記したものであること。

この場合において、事業主が同法の一般健康診断を行うべき「常時使用する短時間労働者」とは、次の①及び②のいずれの要件をも満たす者であること。

① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の更新により1年(労働安全衛生規則第45条において引用する同規則第13条第1項第2号に掲げる業務に従事する短時間労働者にあっては6月。②において同じ。)以上使用されることが予定されている者及び当該労働契約の更新により1年以上引き続き使用されている者を含む。)であること。

② その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。 ただし、週40時間に満たない業種の労働者のみの事業場にあっては、所定労働時間は1週40時間とする。なお、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3未満である短時間労働者であっても上記の①の要件に該当し、1週間の労働時間数が、当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の概ね2分の1以上である者に対しても一般健康診断を実施することが望ましいこと。 なお、①の括弧書中の「引き続き使用」の意義については、上記②のなお書の趣旨に留意すること。

1-(1)-39

社員食堂を外部に委託していますが、その労働者に検便を実施しようと考えています。労働安全衛生法で義務付けられているのでしょうか?

労働安全衛生法では、使用する労働者に対する健康診断(検便含む)を義務付けていますが、他社の使用する労働者の健康診断は義務付けておりません。

1-(1)-38

4月1日付け採用予定の者が1月1日から3月31日までに受診した健康診断書を提出した場合、この健康診断書が安衛則第43条の健診項目を満たしているとき、これを雇入時健康診断とみなしてよいのでしょうか?

雇入時の健診項目がすべて行われていれば、すべての雇入時健康診断を省略することができます。 労働安全衛生規則第43条において、「ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出した時」は雇入時の健康診断の項目に該当する項目については省略できることとなっています。

また、定期健康診断は「安衛則第43条の健康診断を受けた者(43条ただし書きに規定する書面を提出した者を含む)については、当該健康診断の実施の日から1年間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。」(安衛則第44条)とされており、雇入時の健康診断(安衛則第43条)を実施してから1年間は省略することができます。

1-(1)-37

パート労働者に対して健康診断は必要ですか?

「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について」で、一般健康診断を行うべき「常時使用する短時間労働者」を定めています。
通常の労働者の労働時間の四分の三以上の労働を行っていれば対象となります。

なお、(1)-40もあわせて確認してください。

1-(1)-36

有機溶剤業務従事者に対する健康診断を行いますが、尿の採取に関してのポイントがあれば教えてください。

尿の採取に関しては、通達が発出されておりますので、参考にすることができます。

1-(1)-35

海外へ6か月以上出向した労働者に帰国後健康診断を受けさせていますが、B型肝炎ウイルス検査のほかにS型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの検査を実施するべきでしょうか?

労働安全衛生規則第45条の2第2項において、6か月以上海外に派遣した労働者については、帰国後健康診断を実施することになっており、H1.6.30付け労働省告示第47号の通達では、健診項目の中にB型肝炎ウイルス検査が含まれています。


よって、B型肝炎ウイルス検査については医師が必要と認めた場合実施する必要がありますが、S型、C型肝炎ウイルス検査は検査項目に含まれておりませんので、実施の必要性はありません。

1-(1)-34

深夜業従事者に対する健康診断や雇入時の健康診断は、産業保健マニュアルに掲載されている特殊健康診断実施医療機関で受けた方がよいのでしょうか?

必ずしもマニュアルに掲載している医療機関で受診しなければならないというわけではありません。
記載されている医療機関の他にも、雇入時、深夜業従事者に対する健康診断を行っている医療機関はありますので、まずはお近くの病院・診療所等に電話で確認してみてください。

1-(1)-33

雇入時健康診断の料金は、各医療機関で違うものなのですか?

各医療機関に事前に電話などで問い合わせあるいは確認してください。

1-(1)-32

衣類の汚れや染み抜きのために使用している第2種有機溶剤のジクロロメタン(塩化メチレン)を取り扱っている事業場では、健康診断は年に何回行えばよいのでしょうか?また、項目についても教えてください。

ジクロロメタンを使用する有機溶剤業務に常時従事する労働者に対しては、次の項目について6月以内ごとに1回健康診断の実施をする必要があります。

【必須項目】

①業務歴、②既往歴、③自他覚症状の有無の検査、④尿中のタンパク検査

【医師の判断で省略できるもの】

⑤作業条件の調査、⑥貧血検査、⑦肝機能検査、⑧腎機能検査(尿中のタンパク検査を除く)、⑨神経内科学的検査

なお、「⑤作業条件の調査」は一般的に労働者がどのように作業をしているのか、またどのような作業環境の下で労働しているのか把握している前提において、有機溶剤等の取り扱い方法及び量、作業時間、作業姿勢、労働衛生保護具の種類と着用状況などを調べることを想定しています。

1-(1)-31

雇入時健康診断を実施後、雇い入れた次の年の定期健康診断の実施まで1年を超えて期間がある場合、雇い入れた年内に定期健康診断を実施しなければならないのでしょうか?

雇入時健康診断を実施した日から1年間に限り定期健康診断を省略できることから、原則として1年を超えてはなりません。したがって、同時期に定期健康診断を行う場合は前倒して行うしかありません。

1-(1)-30

平成20年4月から特定健診、特定保健指導が義務化されますが、内容はどのようなものですか?また、労働安全衛生法の健診とはどのような関係にあるのでしょうか?

特定健診・特定保健指導は、メタボリックシンドロームを改善するための健診と保健指導を実施するもので、医療保険者(国保、健保、共済組合等)に義務付けられたものです。


労働安全衛生法第66条に基づき、事業場で働く労働者に対し、事業者が健康診断を行うよう義務付けられております。


詳細は、厚生労働省ホームページをご参照ください。

1-(1)-29

定期健康診断項目の自覚症状と他覚症状の有無の検査方法について、医師が行わなければならないのですか?

定期健康診断は医師が実施しなければならないことになっていますので、当然、自覚症状と他覚症状も医師が診断することになります。

1-(1)-28

平成20年度から特定健康診査が始まりますが、特定健康診査対象者(45歳以上)の健康診断の費用負担はどうなるのですか?

特定健康診査の対象者であって、事業場で健康診断を受けることとなる労働者の場合、事業場の健康診断を実施(費用は事業場負担)して医療保険者に健診結果のデータを提出することとなります。
特定健康診査に関するより詳しい情報については、厚生労働省ホームページをご覧ください。

1-(1)-27

4月から特定健康診査が導入されるにあたり、40歳以上の労働者は健康診断項目を確実に行わなければいけないと思いますが、会社で年1回行っている定期健診項目が労働安全衛生法に基づく検査項目になっていません。
簡易的なものだとした場合、どのようにしたらよいのでしょうか?
また、会社側から、『検査費用に係る経費がかさむため、従業員の給料から半分ぐらいでも天引き出来ないか?』と言われましたが、法的にはどのようなものでしょうか?

1 省略できる項目について

(1)労働安全衛生規則第44条第1項では、次のとおり健康診断項目が定められています。

  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査及び喀痰検査
  5. 血圧の検査
  6. 貧血検査
  7. 肝機能検査
  8. 血中脂質検査
  9. 血糖検査
  10. 尿検査
  11. 心電図検査

(2)また、労働安全衛生規則第44条第3項において、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、3、4、6~11を省略できるとしています。厚生労働大臣が定める基準は、次のとおりです。

ア 身長の検査:20歳以上の者

イ 腹囲の検査

ウ 喀痰検査:1 胸部エックス線検査によって病変の発見されない者

  2 胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者

エ 貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査及び心電図検査

  :40歳未満の者(35歳を除く)

オ 尿中の糖の有無の検査:血糖検査を受けた者

(3)以上のことから、省略できない項目は、1、2、5、3のうち「体重、視力及び聴力の検査」となり、それ以外の項目は医師の判断により省略することができます。

また、35歳及び40歳以上の労働者には、6~9、11は省略できません。

そのため、健康診断項目では35歳及び40歳以上の労働者の場合、健康診断項目が不足しておりますので、健康診断項目を増やす必要があります。

なお、省略する判断は、医師による判断によって行うことに留意し、健康診断を実施されますようお願いします。

2 健康診断の費用負担について

次のとおり、労働者が負担することはできないものと解釈されています。

「健康診断の費用については、法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものであること。」(S47.9.18基発第602号)

1-(1)-26

常時使用する35歳未満の労働者に対し、定期健康診断において、医師の判断により問診及び胸部X線のみを実施することは可能でしょうか?

1  労働安全衛生規則第44条第1項において、次のとおり健康診断項目が定められています。

  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査及び喀痰検査
  5. 血圧の検査
  6. 貧血検査
  7. 肝機能検査
  8. 血中脂質検査
  9. 血糖検査
  10. 尿検査
  11. 心電図検査

2 労働安全衛生規則第44条第3項において、厚生労働大臣が定める基準(H10.6.24労働省告示第88号)に基づき、医師が必要でないと認めるときは、3、4、6~11を省略できるとしています。厚生労働大臣が定める基準は、次のとおりです。

ア 身長の検査:20歳以上の者

イ 腹囲の検査

ウ 喀痰検査:1 胸部エックス線検査によって病変の発見されない者

  2 胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者

エ 貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査及び心電図検査

  :40歳未満の者(35歳を除く)

オ 尿中の糖の有無の検査:血糖検査を受けた者


3 以上のことから省略できない項目は、1、2、5、3のうち「体重、視力及び聴力の検査」となり、それ以外の項目は医師の判断により省略することができる項目となります。

1-(1)-25

県内では病院の数も少なく土日祝が休みのところが多い。中小企業では休暇も取りにくく人間ドックを受診するのは夢の世界。休診日をずらすなどの対応はできないものでしょうか?

各病医院に確認してください。

1-(1)-24

聴力検査の項目の中に、三分法値とありますが、どのようなものですか?

三分法値とは、聴力損失の評価方法により導き出された値のことをいいます。
具体的な算出方法は、
三分法 (a+b+c)/3
となります。

a: 500HzのdB

b:1000HzのdB

c:2000HzのdB

1-(1)-23

振動病に対する健診項目にはどのようなものがありますか?

振動病の健康診断は、チェーンソー作業とそれ以外の作業によって内容が異なります。
チェーンソー作業に係る健診項目については「振動工具の取扱い業務に係る特殊健康診断の実施手技について」(S50.10.20基発609号)を、それ以外の作業に係る健診項目は「振動工具(チエンソー等を除く。)の取扱い等の業務に係る特殊健康診断について」(S49.1.18基発45号)をご確認ください。


また、健康診断実施後の管理区分(事後措置)についても「チエンソー取扱い業務に係る健康管理の推進について」(S50.10.20基発610号)をご確認ください。

1-(1)-22

潜水士に対する指導として、特に注意する点はどのような点でしょうか?

気圧の急激な変動がある場合、鼓膜、中耳、内耳が障害を受けることがあります。特に、減圧時に減圧速度が速すぎる場合に、より多く発症します。
鼓膜破裂、穿孔による伝音障害だけでなく内耳も障害を受け、感音難聴、めまいも同時に発生することがあります。内耳の正円窓、卵円窓に損傷が達した場合、聾となることがあります。


以上のことから、指導するポイントとしては、発症予防のために加圧・減圧時、特に減圧時の速度を緩やかにすることが第一歩と考えられます。


また、発症した場合、再加圧後、緩やかな減圧を行うことで軽減されることもあります。

1-(1)-21

人間ドックの健診項目にはどのようなものがありますか?

法令において人間ドックの健診項目は定められておりませんが、 日本人間ドック学会 の基準を参考にすることができます。

1-(1)-20

がん検診の項目でPET健診というのは、どのようなものですか?

PETとは、「Positron Emission Tomography」の略で、陽電子放射断層撮影検査のことをいいます。
MRIやCTなどが「形の変化」をとらえるのに対し、PETは「細胞の活動状態」を視覚的にとらえることができるとされています。

1-(1)-19

定期健康診断を労働安全衛生規則第44条第1項第1号から11号までを受けた労働者が、半年後の健康診断で5号から9号、11号を医師の判断で省略できますか?

5号(血圧の測定)は医師の判断で省略することはできませんので、実施しなければなりません。
また、6号から9号及び11号は、35歳の労働者と40歳以上の労働者を医師の判断で省略することはできませんので、6か月前に実施した定期健康診断の項目と同じ項目を実施しなければなりません。
労働安全衛生規則第44条第1項各号はこちらを参照

1-(1)-18

特殊健康診断の検査項目を教えてください。

従事している業務により内容が異なります。詳細は、下記をご覧ください。

1-(1)-17

定期健康診断の各項目の有所見率(全国版)はどの程度なんでしょうか?

厚生労働省のホームページに「定期健康診断結果報告」が掲載されていますので、参考にすることができます。

1-(1)-16

深夜業従事者の定期健康診断において、半年後の健診で省略可能な項目は何ですか?

健康診断のうち省略できる項目は、身長、喀痰検査、貧血検査等があります。
詳細は、「労働安全衛生規則第44条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準を定める告示(健康診断のうち省略することができる項目)」(H10.6.24労働省告示第88号)を参照してください。

1-(1)-15

ラジウム放射線やX線、その他の有害放射線にさらされる業務に従事している医師、放射線技師についても特定業務従事者の健康診断は必要ですか?

必要です。
労働安全衛生規則第45条第1項では、「事業者は、第十三条第一項第二号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び六月以内ごとに一回、定期に、第四十四条第一項各号に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。」と規定されておりますので、当該業務に従事する労働者であれば、当該健診を実施しなければなりません。

1-(1)-14

労働安全衛生法で義務付けられている、「特殊健康診断」の定義はなんですか?

労働安全衛生法第66条第2項、第3項に定められた健康診断及びじん肺法第3条に定められた健康診断を総称して、いわゆる特殊健康診断といいます。

1-(1)-13

平成17年4月から個人情報保護法が施行されていますが、健康診断を健診機関で行う場合、委託契約書を作成した方が良いですか?

はい。可能な限り委託先の健診機関との間で、契約内容を明記した書面を作成した方が良いでしょう。
個人データの漏洩や盗用等があった場合など、後々大きな問題に発展することも考えられます。

1-(1)-12

情報機器作業の健康診断は必ず行わなければいけないの?

必ず実施しなければならないわけではありませんが、令和元年に厚生労働省が策定した「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」にもありますように、作業者の健康管理を適正に行うことが重要です。

1-(1)-11

定期健康診断を(6月以内に1回)実施しているが、年1回にした場合、法律違反となるのですか?

定期健康診断につきましては、労働安全衛生規則第13条第1項第2号に該当する業務(粉じん、深夜業等)を行った場合、6月以内ごとに1回実施しなければなりません(労働安全衛生規則第45条参照)。

1-(1)-10

有機溶剤や特定化学物質を常時取り扱っている労働者について、6月以内毎に特殊健診を実施していますが、一般健診についても全項目実施するのでしょうか?

特殊健診で実施した項目については、省略することができます。

1-(1)-9

特殊健康診断の受診時間は労働時間に入るのですか?

特定の有害な業務に従事する労働者について行われる特殊健康診断は、有害業務の遂行に伴い、当然実施しなければならないものであり、所定時間内に行われることとしています。
したがって、時間外に行われた場合については割増賃金を支払うことになります。(S47.9.18基発602号)

1-(1)-8

石綿作業従事者に対する健康診断の項目を知りたいのですが?

一次健康診断の項目

  1. 業務の経歴の調査
  2. 石綿によるせき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査
  3. せき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査
  4. 胸部のX線直接撮影による検査


二次健康診断(一次健診の結果、医師が必要と認めた場合)

  1. 作業条件の調査
  2. 胸部X線直接撮影による検査の結果、異常な陰影がある場合で、医師が必要と認める時は、特殊なX線撮影による検査、喀痰の細胞診又は気管支鏡検査

1-(1)-7

有機溶剤・EDPの使用量は、どの程度で特殊健康診断の対象外となるのですか?

作業時間1時間に消費する有機溶剤の量は、屋内作業場の気積により許容使用量が定められています。
有機溶剤中毒予防規則第2条の計算式で計算し、許容使用量が常態として超えない場合、同規則第4条による適用除外認定申請を事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に申請して認定を受けたときに特殊健康診断の対象から除外されます。

1-(1)-6

雇入時健診や定期健診等の健診項目にはどのようなものがあるの?

雇入時の健康診断につきましては労働安全衛生規則第43条を、定期健診や特定業務従事者健診等につきましては同規則第44条~46条をご参照ください。
なお、雇入時の健康診断には、医師の判断で省略できる項目はありません(全て実施しなければなりません)。

1-(1)-5

他社で石綿作業従事経験があり、石綿健診では所見なしの作業員を採用したのですが、当社では石綿作業に従事させる予定はありません。この場合、当社で当該作業員に対して石綿の健診を受診させなければならないの?

自社で石綿作業に従事していないのであれば、受診させる必要はありません。
事業場で実施する健診の問診時に「医師にその旨を伝えた方がいい」と伝えることもありえます。

1-(1)-4

酸性フッ化アンモニウムを使用している工場において、フッ素慢性毒性(斑状歯、フッ素骨沈着等)を起こす場合もあるそうですが、歯科健診を行った方がよいの?

必要です。
労働安全衛生法施行令第22条第3項では、「(~省略~)政令で定める有害な業務は、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗ふつ化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務とする。」とあり、人体に有害な物質を取り扱う以上、健康診断を行わなければなりません。

1-(1)-3

聴力検査における判定基準について教えてください。

聴力変動は、10000ヘルツでは10デシベル以内を、40000ヘルツでは20デシベルまでが一応の判定の基準とされています。
改正健康診断の聴力検査においては、1000ヘルツ、30デシベル、4000ヘルツ、40デシベルあるいは30デシベルの音が聞こえない場合に有所見と判定されます。

1-(1)-2

腹囲の測り方は立って測定とのことですが、CT検査のような寝た状態が正しい、とのサイトもありますが、どちらが正しいのでしょうか?

立位で測定することとなっています。

1-(1)-1

海外へ6か月以上出向した労働者が帰国後健康診断を受ける予定ですが、B型肝炎ウイルスのほかにS型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの検査をするべきでしょうか?

安全衛生規則第45条の2第2項では、6ヶ月以上海外に派遣した労働者が帰国後健康診断を実施することになっています。平成元年6月30日付け労働省告示第47号により、医師の判断により実施するべき健診項目が定められている中に、B型肝炎ウイルスの検査が含まれていますが、S型肝炎ウイルス検査、C型肝炎ウイルス検査は検査項目に含まれていません。


そのため、B型肝炎ウイルス検査については、医師が必要と認めた場合実施する必要があります。

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