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平成17年度 青森産業保健推進センター 調査研究結果 概要
 
 
産業保健推進センター・県・医師会・事業場の連携による
職域でのメンタルヘルス対策のシステム構築
 
 
         主任研究者 青森産業保健推進センター所長   佐々木 義樓
         共同研究者 青森産業保健推進センター相談員  中路 重之
               はなぞのクリニック        華園 壽英
               青森保健所            越後 秀
               青森市健康づくり推進課      久慈 和子
 
 
T.目的

 青森産業保健推進センター・県・医師会・事業場が協力して、青森県のメンタルヘルス対策の実態を把握し、その実際の対策を、モデル事業場で施行する。
 
 
U.方法
 4分野(産業保健推進センター(相談員)、事業場の衛生管理者及び産業医、精神科医(医師会)、保健所保健師(青森県))がチームを作り、青森県下事業場におけるメンタルヘルス対策実践モデルの構築を行う。

 具体的な手順としては、
  @チーム編成
  A県下事業場におけるメンタルヘルス対策の実態把握
  B問題点の整理とモデル構築に向けたデザイン作成
  Cモデル事業場での実践
 
 
V.調査研究の流れ  1.チーム編成及び方針決定
  @華園壽英(はなぞのクリニック院長):医師会
  A越後秀(青森保健所保健師):青森県
  B久慈和子(青森市保健師):青森市
  C中路重之(相談員):青森産業保健推進センター
  第一回チーム会議(平成17年6月、青森産業保健推進センター)で以下の決定をみた。

  @ いくつかの事業場の実際の事例を持ち寄り、検討会を開催することで実態を把握する。
  A @より、実態を分析し、モデル構築に向けた協議を行う。
  B メンタルヘルス対策をモデル事業場で実践する。


 2.県下事業場におけるメンタルヘルス対策の実態把握

  平成17年8月と9月の回にわたって、の事業場による事例検討会を行い、以下が明らかに
 なった。
  @参加したほとんどの事業場が、治療の必要な、あるいは治療を受けている事例を持ち、
   その対応に苦慮していた。
  Aその事例を専門医(精神科医)に衛生担当者自ら紹介した事業場は少なかった。
  B精神科での治療期間中、事業場側が治療内容を把握できない状況にあった。
  Cいずれの事業場でも、一、二次予防の実践はほとんど行われていなかった。


 3.事業場によるメンタルヘルスシステムの構築

  収集した情報をもとに、今後のメンタルヘルス対策の実践モデル構築に向けた協議を行った
 (平成18年3月)。
  その結果、ハイリスク者及び要治療者の拾い出しと、その対応に焦点をしぼって、実践モデ
 ルを作ることを目指すこととした。
  まず、実践モデル構築を困難にしているファクターとして、産業医がキーパースンとなり得
 ていない、ことが挙げられた。その理由として、以下のことが考えられた。
  @産業医、精神科医、事業主・事業場担当者、労働者の意識・知識の低さ。
  A産業医と事業場の日常的な連携の希薄さ。
  B事業場担当者の産業医に対する遠慮。

  そこで、以上の理由を勘案して、以下のようなモデル(図参照)を実践することとした。
  @本チームが働きかけて、事業場の担当者、産業医、精神科医(担当医)に対し、実践
   モデル参加の主旨、方法を説明し、組織構築のための合意を得る。
  A事例が生じた場合、その従業員は担当者・産業医の紹介で担当医に紹介する。
  Bその後、担当者・産業医と主治医(精神科医)の間で定期的あるいは随時所定の用紙
   で連絡を取り合う(書式は本チームが作成)。勿論、本人の承諾を得る。


 4.モデル事業場での実践
  産業医活動を比較的熱心に行っている産業医に接触して、モデル活動の実施への協力を要請
 し、承諾を得た。具体的には、@F社AG社BH社の3社に申し入れた。
  平成18年5月末日現在の進行状況は、以下のようである。

  F社:事業主を中心として、産業医、精神科医を含んだ、メンタルヘルス対策の組織を
     作った。また、幹部職員(約30名)に対して中路がメンタルヘルスに対する講演
     を行った。

  G社:事業主を中心として、産業医、精神科医を含んだメンタルヘルスの対策の組織を
     作った。

  H社:事業主を中心として、産業医、精神科医を含んだ、メンタルヘルス対策の組織を
     作った。さらに、「職業性ストレス簡易調査票」を全職員に7〜9月の間に実施
     する予定である。

  以上より事業場におけるメンタルヘルス対策の今後の充実には以下のことがとくに必要と考
 えられた。

  @あらゆる関係者に対する基礎知識の普及:講演会、研修会の実施、パンフレット、ビ
   デオなどの配布。
  Aメンタルヘルス対策のシステム(事業場内と外部を一括した)を作る。
  Bできれば相談に応じて産業医に対する経済的サポート。
  C労働基準監督署を中心として、メンタルヘルスのために事業主の遵守義務につき指導
   を行う:さらなる法の整備が必要か。
  D医師会のサポート。
  E健診にメンタルヘルスを組み込む。
  F今回のモデルを確立して県下に敷衍。

 @〜Fの指導、依頼、協力を青森産業保健推進センターが行う。
 
 事業場におけるメンタルヘルス対策の実践モデル
 
 
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